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扇いで涼しく 眺めて涼しい

本格的な夏を迎える今日この頃。この度は暑い夏にささやかな涼を楽しむための伝統工芸品「水うちわ」をご紹介します。

-水うちわとは-

水うちわは雁皮紙(雁皮紙)という非常に薄くきめ細やかな和紙を貼り、天然ニスで仕上げた団 扇です。他の団扇に類を見ない透明感が水を連想させることにくわえ、耐水性の高さを活かし水にくぐらせ て扇ぐことで水の飛沫を楽しむ使い方が伝わっていることも水うちわと呼ばれる所以です。

長良川名物の鵜飼を楽しむ観光客が、船べりから長良川の水に団扇を浸けて扇ぐと涼しいと人気 になりました。和紙の産地である美濃が近く、良質な竹が豊富にとれることが相まり地域の工芸品として現代に 受け継がれている意匠が定着しました。

手間を要する手造りのため大量生産はできず、日常的に見かける機会は少ないですが最近はビール のテレビCMに使用されているものが見られたり、外国人観光客の日本土産や季節感のある贈答品 として求められたりと、その涼やかな美しさがあらためて注目されています。

-雁皮紙とは-
水うちわの透明感のある扇部には雁皮紙を用います。 雁皮紙とは沈丁花科の植物である雁皮の皮を使って漉かれてた和紙です。雁皮は楮に比べて繊維が緻密なため、薄く漉いても強度に優れ、害虫に強く変色しにくい和紙に 仕上げることができます。 古くは写経や手紙に用いられ、近代においても謄写版に使用される原紙として需要がありました が、複写機の普及に伴う需要の減少にくわえて原料確保や製造の難しさも相まって貴重なものと なりました。

-天然ニスとは- セラックニスやシェラックニスと呼ばれ、ラック貝殻虫という昆虫が植物に寄生して分泌した樹 脂質を精製したものです。紙のみならず木への密着性の良さから家具や楽器の塗装に用いられ、天然素材ならではの安全性 から化粧品やチョコレートなど菓子のコーティングにも用いられています。

このように水うちわは素材からこだわりがあります。 エアコンはおろか扇風機すら無かった時代だからこそ、自然から頂く素材が注目されて活かされ ました。

涼を生み出すための打ち水やすだれ、川辺のそぞろ歩き。暑い夏を乗り越える先人の知恵はそれ にとどまらず、鉢に泳ぐ金魚や風になびく風鈴の音など視覚や聴覚へも及びました。

そんな日本人ならではの感性が造り上げた水うちわ。なんとも不思議な透明うちわで盛夏の涼をお楽しみください。

 

水うちわの作り方

1. 糊付け

1.糊づけ

 

2. 雁皮紙貼り

2.雁皮紙貼り_1

3. 雁皮紙貼り2

3.雁皮紙貼り_2

4. 雁皮紙貼り3

4.雁皮紙貼り_3

5. 乾燥、裁断

5.乾燥〜裁断

6. 縁、鼻、耳貼り

6.縁〜鼻〜耳貼り

7. 雁皮紙貼り完了

7.貼り作業完了

8. ニス塗り1

8.ニス塗り初回

9. ニス塗り2

9.ニス塗り4〜5回繰り返し

10. 完成

10.仕上がり確認