柿渋染め
柿の渋みに顔を歪めた事はありませんか?
実はこの渋、柿に含まれる『タンニン』の仕業なのです。
タンニンは今話題のワインにも含まれるポリフェノールの一種で
口の中でタンパク質と結合する時におこる収れん作用が舌を刺激して
『渋い!』と感じさせるそうです。
実は渋味って味覚というよりは触感に近い感覚だったんですね。
嫌われ物の渋ですが、実はこのタンニン、ichiの鞄に使っている
柿渋染めにはなくてはならないキーマンなんです。
天然染料の代表である柿渋染めは太陽の光で発色する事から『太陽の染め』とも呼ばれてきました。太陽の染めなんて何だか素敵ですよね。
この染め色は染め上がった後も月日が経てばたつ程にどんどん変わっていきます。柿渋染めは湿気、気候などの条件によっても風合いが変わって行くので安定した色を出すのはとても難しいと言われてます。それ故に柿渋染めの職人も減少傾向にあるそうです。
自然の力は偉大で近年ではホルムアルデヒドを吸着する素材として自然塗料としても見直されるようになってきました。
柿渋染めの効果もさることながら素材の美しさ、
それを手にした時の心地良さなど自然からの恩恵を強く感じる事ができますね。
自然が生み出す陰陽の濃淡や複雑な色の重なりと使う程に深みを増す色の味わい、自然と共に生まれるその色はいつでも違う表情が生まれます。
今日はどんな表情をみせてくれるんだろう?
自然の力に感謝しつつ、自然が生み出す色の変化を一度味わってみませんか?