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『媒染』ってご存じですか?

天然染料による染色は木や草などを煮出したもので染めただけだと植物と色素が結びついていないために繊維に着色されません。したがって、このままでは色が薄かったり、すぐ色落ちしてしまったりします。そこで媒染が大切な役目を果たしてくれます。

媒染の役目は2つ。

一つは染めつかない染料を染まるように繊維と色素を結びつける手引きをする役目。

もう一つは染料の発色を助ける役目です。

媒染を行わなくても染められますが、媒染することでより色美しくなり、媒染することで水に溶けにくい色素に変わるため丈夫な染色に仕上げることができるのです。

媒染は古来より自然に存在しているものを利用してきました。ほとんどの天然染料は、金属イオンの力を借りずには染め付くことができません。金属イオン、すなわち水に溶けている金属が、植物の色素と合わさって色を落ち難くさせ、しかも発色まで促してくれるわけですが、自然界にある灰や土の利用がそれにあたります。

有名な奄美大島の大島紬はテーチ木(和名:車輪梅)で赤茶色に染めた後、鉄分の多い泥土につけ、黒く深みのある色に発色させます。これは鉄媒染と言われるものです。

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あるいはアルミニウムを多く含んでいる椿の灰で行う媒染は自然のアルミ媒染とされてきました。アルミ媒染は赤や黄色などをより鮮やかな色に発色させる効果があります。

こうした自然物を媒染する方法は実は今も受け継がれ行われています。今のような科学が発達していない時代に日常から生まれた知恵は偉大ですね。自然が生み出したものの力を最大限に引き出すことは出来ないだろうか。そんな先人達の知恵が今の私たちを支え、化学の力が発達しても尚、絶える事なく生活の中に生き続けています。

ichiの鞄は鼠色と煉瓦色。全く異なる2つの色に染め上げられていますが、どちらも柿渋染めに鉄媒染を施した布地です。

いろんな色に変化する植物の色素は様々な音を鳴らす楽器のよう。媒染液は奏者となり、今日も豊かな音色を私たちに届けてくれています。

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