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読んで字のごとく、年月が経つうちに製品の品質・性能が変化すること。特に、摩耗や腐食で性能が劣化することを意味する言葉です。
ところが、身の回りを見渡してみると経年変化することで、それが意味通りに劣化であったとしても、不思議なことに魅力を増していると感じられる物もあるのではないでしょうか。

毎日使う家具や食器、穿き込んだジーンズに古い車。建物だって古い=ボロではなく、年季の入った壁や佇まいにはずっと眺めてしまう魅力を感じてしまいます。

勿論、経年変化が魅力のない単なる劣化に感じられる物もあります。そういった物を手にする機会もあるかもしれませんが、出来る事ならばやはり使い込むことで魅力を増し続け、愛着を持てる物と付き合う人生でありたいですよね。

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経年変化で魅力を増すものとして「革」はとても身近な存在です。

よく「味が出てきた」と形容されるように、注いだ愛情が分かり易く見て取れる素材だと思います。

実は革製品の中にも味が出ない(経年変化が味でなく劣化に見える)物もあります。これは造り手が新品状態を保つことに美を見出していたり、単純にコスト優先で味の出ない革を使っていることによるものです。

ichiでは創業時から、革製品は使い込むことではじめて完成するものであることを念頭において、物造りを続けてきました。勿論、新品の美しい状態でお渡しはしますが、新品が美しさの頂点ではなく、そこから育ちさらなる魅力を備えて行くことが重要だと考えており、そのためのデザインと素材選びをしています。

その素材となるのはタンニンなめしされた革。その製法上、皮から革になるまでに膨大な手間がかけられているのはもちろんですが、使い込む事でのみ味わえる魅力を秘めた素材です。日光や熱で日焼けしたり、手の脂やメンテナスオイルが染み込む事によって、色が深みを増していき、さらに摩擦などの刺激が加わることで革がもともと含んでいる脂分が表に滲み出し、これが磨かれることで艶が生まれるのです。

革の経年変化というと、染色を施していない生成り色の革が飴色へと変化することが醍醐味として広く知られていますが、柿渋革やオイルレザーといった新品時には非常に鮮やかな発色の革を育てて頂くことも、十分におすすめしたい楽しさがあることを書き添えさせて頂きます。

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ここに程よく育ったお財布の写真があります。

このような艶やかに仕上がったお財布が欲しいと言われることがよくあります。

魅力を感じて下さってのご要望でありとても嬉しいのですが、やはりご自身で育てていただく楽しみを捨ててしまってはもったいないことです。その手間や共に歩まれた時間が革に表情を与える。そんな情緒的価値も含めた全ての要素が経年変化の魅力なのです。

もしichiの革製品を手にして下さる機会がありましたら、あまり過保護にせずに使い込んでやって下さい。魅力を増していく様子が毎日の楽しみになります。

そして数年後に時を共に過ごした相棒をあらためて眺めてやって下さい。

深くなった色に、なんとも言えない艶に、うっかりつけてしまった傷までもが、そのものの魅力となって語りかけてくれるはずです。