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革細工では革包丁(切る)鉋(削ぐ)、菱錐(刺す)という道具を使います。

「神は細部に宿る」とはまさにその通りで、緻密な道具の手入れが革職人としての善し悪しを左右すると言っても過言ではありません。

刃物は使うと刃先が丸まりツルツル滑るようになってしまいます。

この状態では正確な裁断ができず、製品の仕上がりが悪くなってしまいますので、砥石を使い刃を「研ぐ」ことで包丁を元の切れる状態に直します。また、砥石も一丁研ぎ終える毎に平らに直しながら使用します。

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道具を整える為の道具もまた整える。整えてばかりですがそれが大事です。

余談ですが刃物を研ぎ進めると研がれた刃物の粒子が砥石の上に溜まってきます。これを砥糞(とくそ)と言い、ついつい洗い流したくなってしまうのですがこれは研ぎを加速させる良き働きをするので洗い流さずに研ぎ進めていきます。

刃物を研ぎ進めると研がれた面は鏡のようになり、その切っ先にはバリという返りが出ます。これで研ぎは完了です。

仕上げに新聞紙の上を滑らせてバリを取り除きます。

刃の付き具合を確認するのに、ちり紙を宙ぶらりんの状態で刃を当て、下にスライドさせ切るという方法があります。

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切れなければ刃がついておりませんし、ちり紙が刃に残れば、切っ先が反り返りティッシュを絡め取ってしまっている状態なのでバリの取り直しです。スッと引っかかる事無くちり紙が裁断されれば上手く研げていることの証です。

道具は職人の体の一部。爪を切ったりハンドクリームを塗る様に日々調子を整えながら使用します。手入れを怠れば、たとえそれが凄腕の鍛冶屋誂え(あつらえ)の刃物であっても役には立たないのです。

  kiru

革包丁や鉋、菱錐の持つ鏡面は、私達革職人のものづくりへの想いを写す鏡でもあります。